東京にいることが
全てでは
無いんじゃないかな
とは思い始めてる
佐々木健太郎
下岡:大丈夫?録れ高は。
一同:(笑)
高橋:もう大分オッケーなんですが、最後に「東京」というものへのそれぞれの思い、みたいなところを聞かせてもらいたいです。ヤナセくんは多摩出身で、Analogfishのお二人は長野出身で、下岡さんは今東京と行き来をしているということで…。とても抽象的ですが…これ難しいな、俺訊かれたら答えられないな(笑)
服部:ヤナセさん以外はみんな地方出身で、それぞれ何らかの思いがあって東京に出てきてると思うんです。東京に出てくるまでの感覚と、暮らし始めてからの感覚で、東京を見てる感じって全然違うと思っていて。自分の環境や感覚も変わってきた中で、今一度東京の事を考えたらどう思うんだろうというのと、ずっとそこで生まれ育った方の話も聞きたいなと。
佐々木:最初二人で長野でやっていた時は、同じ音楽の趣味の人を探すのすら無理で。
下岡:B’zのコピーバンド同士が対バンしてたしね(笑)
佐々木:いたね。Mr.Bigとかも。東京出て来た時は、自分が望めば何でも出来る場所なんだって思ってたなあ。
高橋:なるほど。今はどう感じますか?
佐々木:今はネットがあって、呂布カルマさんとか下岡もそうだけど、地方在住で良い音楽をやって、東京にこだわらずに活動している人も増えてるから、自分も東京との向き合い方はどうなんだろうなって葛藤している部分は常にあります。東京にいることが全てでは無いんじゃないかなとは思い始めてる。まだしばらくはいると思いますが。
高橋:NOT WONKも北海道在住ですよね。
下岡:かっこいいよね。
ヤナセ:北海道良いバンドがすごい多い。何でですかね?なんか日本じゃないみたい。
下岡:あはは、九州もそうだしね。
高橋:東京から遠い程良いのかな(笑)
下岡:東京から遠い程、街は生き生きとしてるように感じる。東京近郊は、リトル新宿やリトル吉祥寺みたいな街が多い気がする。
高橋:福島から僕らは上京してきて、福島や長野って割とすぐ帰れちゃう距離じゃないですか。新幹線だったらもう本当に一時間くらいで帰れちゃうし。だから俺は、あんまり東京に出てきたぞって感じがあまり無くて。それを考えると九州や北海道の人達って、なかなか帰れないじゃないですか。だからそういうところで覚悟や決意が違うのかなとは思いますね。
下岡:距離というよりその人による感じはしますけどね。僕らは本当に上京!って感じだったよね。
佐々木:うんうん。お上りさんだった。
下岡:俺は本当に東京大好きですけどね、今。愛してますね。
高橋:それは長野に戻る前からずっとですか?
下岡:好きだったけど、でも東京に疲れたところもあって。でもめちゃくちゃ恵まれた所だと思いますね。地方から見ると、東京って。
高橋:なぜ長野へ戻ったんでしたっけ?
下岡:最初は東京で仕事しようと思ったんですけど、東京で仕事するの嫌だなと思って。音楽やってる人が東京で仕事しようとすると、みんな同じような事やってるなと思って、大体。それを自分がやれると思えなくて。
佐々木:名前で呼ばれる仕事がしたいって言ってたよね?
下岡:そうそうそう。
佐々木:番号で呼ばれちゃうみたいな。会社名で呼ばれたり。
高橋:ああ、なるほど。
下岡:下岡晃っていう人として扱われないのって、苦手なんですよね。甘えてるようだけど。
高橋:何人かの内の一人、とかでは無く。
下岡:そうそう。(移住は)だからですね。
高橋:ヤナセくんは、どうですか?地元というか、生まれが東京ですけど。
ヤナセ:正直、小さい頃から地方への憧れが強かったですね。
菅野:東京が地元の人って結構そう感じるって話聞きますね。
ヤナセ:東京に疲れても、帰れないですもん(笑)
一同:(笑)
ヤナセ:電車で15分で渋谷に出られて、その感じが嫌すぎて。渋谷とか取材で呼ばれたり、用がないと行かないし。極力電車も乗りたくなくて。新潟に祖父が借りてる曽祖父の家があって、そこに移住するっていうのが今の一番の夢で。
高橋:新潟だったら出来なくもない。
下岡:出来なくない。新幹線で。
ヤナセ:空気感が好きで、性格に合ってる。日本海の空気。坂口安吾もだけど、ちょっと暗い(笑)
高橋:日本海に面してると(笑)
ヤナセ:そうなんですよ(笑)東京、あんまりやっぱまだ好きになれないっすね。道狭いし、建物高いし、排気ガスの感じ結構強いじゃないですか。どこ行っても。
高橋:東京で育ってもそれは感じるんだね。排気ガスの感じとか。
ヤナセ:いや、他のところに行くとそれを感じますね。新潟とか、空気ってこんな綺麗なんだとか。
佐々木:全然違うもんね。時が止まってるもんね(笑)
下岡:俺たち、本当にそういうところで育ったからね。田舎の人たちって、お祭りみたいなの好きだし、人が集まってるのに憧れがあるんじゃないかな。40歳になっても、そういう感覚が残ってるのかもね。あとやっぱり、文化的な物に触れられないから、美術館行くとか基本的にないし、映画も全然やってないしね。そういうのが、今ネットが繋がってて全然出来るから。
高橋:高校の時とか、ライブハウス行ってました?
下岡:いや、俺は全く行ってないな。健太郎さんは行ってたよね?
佐々木:僕らはAIR JAM世代なんで、ハイスタのコピーバンドとか、BRAHMANとかライブハウスでやってましたね。
高橋:長野のライブハウスだとどこで?
佐々木:長野って言っても飯田って所で、南の方かな。ほぼ岐阜寄りの愛知の近く。
下岡:長野で一番長野っぽいものが無いところ(笑)蕎麦も無いし、スキーもしないし。高校の頃、日本に夏休みで帰って来てたら、健太郎さんがジュンスカか何かのコピバンをやってて、観に行きましたね。
佐々木:やってたね。俺ボーカルだったっけ?
下岡:いや、ドラム。
高橋:ドラム!?
下岡:いや、ギターも弾いてたし、その時々で変わってた。
一同:(笑)
高橋:ヤナセ君はライブハウスとか行くの?もちろん行ける環境ではあると思うけど。
ヤナセ:いや、行かないっすね。苦手…。
高橋:行かないんだ。
下岡:空気悪いし?
ヤナセ:空気悪いし(笑)苦手なんですよね。怖いので。本当に、森が好きで。
佐々木:森!(笑)
ヤナセ:高尾山とか、すごく。
佐々木:あ、いいね。最高だよね。
ヤナセ:本当あっちの方ばっかなんですよ。元々性格的に、東京の感覚が合ってないんですよね。しかも地元が東京だと、変な事出来ない感じがする(笑)家族もみんな東京だし。家の中に居るみたいな。だから結構真面目にしていたいというか。
下岡:東京のいい大学を出た人が、農協か何かの関係でりんご園に見学に来た時に、「トイレどこですか?」って訊いてきて、田舎はどこでもトイレがあるわけでは無いから、「立ちションしてください」って言ったら、その人立ちションできなかったんだよね。
一同:ええ!?
高橋:確かに東京には、立ちションできる場所が無い…。
下岡:うん。だからびっくりした。
ヤナセ:でも僕もびっくりして。青森から来た友達とかが、駐車場とかでいきなり立ちションしだして。
下岡:それはやらない方がいい(笑)でも立ちション出来る位の力は持ってた方がいいよ。
一同:(笑)
下岡:コンクリートにゲロしたり、オシッコしたりするのって汚いじゃん。緑の上にすると全然綺麗だけど。
高橋:綺麗!?(笑)
下岡:なんか分解されていく感じがして。
高橋:あ~、養分に(笑)確かになあ。
下岡:でも、なんか東京ってそういうのは吸い込んでいかないけど、人の生気っていうか、そういうのは凄く吸い込んで回ってるじゃん。だから、そういうのがエンジンとして回ってる強さはあるよね。逆に田舎は今そういうの弱いからさ。
高橋:確かにそれ、圧倒的な違いかもしれないですね。
下岡:うちの周り、60歳より下の人、もう今いないんじゃないかな。笑っちゃうくらい、テレビでやってるような問題に直面してる。
佐々木:だから最近は、地域おこし協力隊とか受け入れたりしてるんだよね。
下岡:うん。都会から来る人をすごい受け入れたりしてるよね。
佐々木:若い人とかもね。
下岡:でも、田舎の生活って別に甘くないから。結構シビアだから。
佐々木:人付き合いとかもしないとダメだしね。
下岡:うん、だからそんな誰でも出来るものじゃないと思うけどね。めちゃくちゃ構われるよ、周りの人に。
佐々木:一人じゃ居られないよ。
一同:(笑)
高橋:ひっそりとはできないってことですね。
下岡:うん、でも面白いよ。
ヤナセ:人付き合いは好きなんですけどね、割と。ただちょっと、東京は嫌だなって。お爺さんとかとはよく喋るんですけど、バスで(笑)
高橋:バス?
ヤナセ:話しかけられたりして、そういうのは楽しいですね。
下岡:新潟と往復できる生活は、素晴らしいと思う。俺たちが知ってる海外の人達って、みんなそんな風に暮らしてるよね。好きな所で暮らして、ネットでやり取りしてる。で、ライブの時は仕事として一緒に回ってみたいな。日本って、アメリカよりも相当狭いから、余裕でそんなこと出来るはずだけど、なかなかみんな東京じゃないと出来ないって感じがまだあるよね。
高橋:そうですね、ありますよね。
ヤナセ:練習とかリハーサルとか、そこの問題がありますよね。
高橋:ヤナセくんはスタジオ結構入ってる?
ヤナセ:入ってないですね、予定がなかなか合わなくて。ドラムがもう一個ニトロデイってバンドやってて。そっちも結構、今頑張ってるので。
下岡:まとめたら記事になりそう?
高橋:なります。します!(笑)多分、良い感じに。良い感じなのか!(笑)
下岡:なんか、ばらけてしまって申し訳なかった。
高橋:いやいやいや、もうこれは雑談なので。じゃあ、ここでひとまずという事で。
一同:ありがとうございました!
菅野:意気込みとか大丈夫?
高橋:意気込み(笑)それは当日演奏で!
Profile
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Analogfish
斉藤州一郎 (Drums, Vocals)
下岡晃 (Vocals, Guitar)
佐々木健太郎 (Vocals, Bass)
-特徴-
・だいたい全員’78~’79生まれ
・ボーカルが二人います
betcover!!
betcover!!こと1999年生まれ多摩育ちのヤナセジロウによる音楽
フィッシュマンズの大ファン
小学5年生でギター、中学生のときに作曲を始め
2016年夏に本格的に活動を開始。同年レーベル主催企画で初ライブ、
その次はロッキングオン主催の「RO69 JACK for COUNT DOWN JAPAN」で優勝し「COUNT DOWN JAPAN 16/17」に出演。
2017年12月20日(水)10曲入り1st ep「high school!! ep.」を発売。
収録楽曲「COSMO」が2018年1月スペースシャワーT V にて一定期間ローテーションする企画「it!」に決定。
5月にはサニーデイ・サービスの新作リミックスアルバムその制作過程をシェアするプレイリスト<the SEA>のリミックスを担当
2019年6月8日(土)paionia企画「魂とヘルシー 第七回」 w) Analogfish / betcover!!
日程:2019年6月8日(土)
会場:下北沢SHELTER
時間:open/start 18:30/19:00
チケット:adv / ¥3000 door / ¥3500
※バンド予約も受付中