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paionia × Analogfish × betcover!!

「魂とヘルシー」事前鼎談企画 Vol.3

6月8日に行われるpaionia企画「魂とヘルシー 第七回」に先駆けて、Analogfishの佐々木健太郎と下岡晃、ヤナセジロウ(betcover!!)を招いて鼎談が行われた。
流れていく音楽に、どう身を寄せるのか。

写真:服部健太郎

自分が音楽を作ることって、

まずは歌詞を書くことなんだよね

​    下岡晃

高橋:まずは今回、「魂とヘルシー 第七回」にご出演決めていただきありがとうございます。去年12月から、おとぎ話や羊文学、倉内太さんとこの鼎談企画をやってきましたけど、今回は一番人数が多いですね。

菅野:多いね。

高橋:そんなに堅苦しく話すつもりはないんですが、このトークのテーマとして、「世代」と「言葉」というところを中心に訊いていきたいと思っています。
他のいろんなインタビューで沢山話されてるとは思うんですが、まずはそれぞれのバンドの来歴から簡単にお願いします。

下岡:Analogfishは、19歳の頃始めたバンドで、今年で20年目になります。田舎で始めて、上京して、メジャーデビューして、で今ここみたいな(笑)

一同:(笑)

高橋:大分ざっくりですが(笑)、ありがとうございます。こっちから色々訊いていかないとですね(笑)今年でおいくつですか?

下岡:今年で41歳ですね、僕は。

高橋:僕らが31歳で、ではbetcover!!ことヤナセジロウくんは…

ヤナセ:今年で20歳です。

下岡:素晴らしいね。

高橋:20歳かあ。来歴といっても難しいね(笑)

ヤナセ:無いですね(笑)

高橋:でもそもそも楽器とかはいつから?

ヤナセ:小学校ですね。

下岡:そういう家庭だったんですか?

ヤナセ:叔父がちょっとギターをやってて。

下岡:なるほど、そういう感じで。

菅野:みんなちょうど10歳ずつ違うので、宅録環境もそれぞれちょっとずつ違うのかなとお二方(Analogfish)はテープとかですか?

下岡:そうですね。カセットMTRで始めて、今もまた買い直して使ってます。ずっと使ってなかったんだけど、音の質感が好きだから、最近また買い集めてる感じですね。こないだのアルバムも1曲それで録りました。

高橋:トラック丸々MTRの音ですか?

下岡:うん、そうだね。

菅野:へえ~。ではそこから10歳下の我々は、デジタルのMTRというのか…

高橋:ローランドのBR-864みたいなやつね。

ヤナセ:僕600ですね。

高橋:600か!そういえば、ヤナセくんはMTRのプロだと聞いたんですが(笑)

ヤナセ:パソコン使えないんですよね。

高橋:今の世代の人にしては珍しいよね。

ヤナセ:音が出ないんです、パソコンだと。設定がわからなくて。
 

菅野:てっきりアイパッドプロでガレージバンドとか駆使してるのかと思った。

一同:(笑)

ヤナセ:今回のフルアルバムも1曲丸々MTRで録りました。

高橋:へえ~。たしかにMTRの音って慣れてるのもあるせいか、すごく良いんだよね。

菅野:でもテープも使ってみたいね。やっぱり違いますか?

下岡:全然違うけど、いわゆるいい音ではないからさ。人には勧めないけど、俺たちは割とそういう音で育ったから。ノスタルジックなだけだね。

高橋:インタビューで読んだんですけど、健太郎さんはパソコンを駆使して録音されていると?

佐々木:最近はそうですね。僕ら2016年に半年くらいライブ活動を休んで、楽曲制作に集中した時期があるんですけど、そこまではMTR派だったんです。でも半年がっつり時間があるから、それを機にDTMに移行しようと。それからですね。

高橋:下岡さんもDTMは使うんですか?

下岡:そうだね、僕は結構長くやってて、今はテープと両方使います。でもほんとにテープMTRはやめた方がいいです。お金がかかるし。

一同:(笑)

下岡:テープ探さなきゃだし、30分とか40分とか録音時間限られてるしね。モノ自体は200円とかであるんだけど、今ハイポジのテープもあんまりないしね。

菅野:ハイポジ…?

下岡:そう。ハイポジとかメタルとかノーマルとかもうみんなわかんないじゃん?

高橋:知らない!(笑)

下岡:そういうのもあるからね(笑)

ヤナセ:親がカセット世代だったんで、メタルテープとかわかります(笑)

高橋:すごい(笑)

下岡:あと良い機械でも、作られて20年くらい経つから、モーターの回転が安定してるものがあんまなくて、ちゃんと動かそうとすると整備で結構お金かかっちゃったりする。

高橋:売ってるのってほとんどジャンク品ですもんね。

下岡:うん。だから僕の場合は、ジャンク品買って、偶然ちゃんと動くやつを使ってるって感じ。

高橋:一か八かなんですね!(笑)

下岡:そう、一か八かで買って、ダメだったやつは手放すみたいな。

佐々木:8トラのやつとかね。俺らの中ではおなじみの(笑)

下岡:カセットテープの8トラって要は、あの細いテープの幅を8等分にして録音するから、めちゃくちゃ音悪くなるし、隣のトラックに音が漏れて移るんだよ。3のトラックに4トラックの音が薄く残ってたりするんだよね。だからちょっと面白い。

高橋:ギリギリ俺らも車ではテープでしたね。ヤナセくんはマイケルとかをテープで?

ヤナセ:あとはノーランズとか。

下岡:いいものばっか聴いてたんだね。

ヤナセ:小学5年生くらいまで、それぐらいしか聴いてこなかったですね。

下岡:英才教育だね。

高橋:佐々木さんの音楽の入りは何でした?

佐々木:僕は”たま”とか。あとは下岡がユニコーン聴いてて。

菅野:ヒゲとボイン。

佐々木:そう、ヒゲとボイン聴いてて。当時長野の喬木村ではユニコーンでもマイナーだったから、聴いてる人もいなくて。

高橋:それが何歳くらいですか?

佐々木:14歳くらいかな。

下岡:それまではテレビで流れてる音楽を聴いてましたかね。

高橋:そしたら楽器とかバンドとかっていうのもその後ですか?

下岡:そうだね。だから僕らはすごく遅いと思う。

高橋:僕の場合は、小学生の時親にギターをやらされて、嫌々やってたんですけど、ある時からハマってそれからずっとですね。音楽の最初は”19”とか”ゆず”とかです。そういう時代でした。

下岡:いい音楽聴いてたんですね。

高橋:海外の音楽は全然でした。

下岡:僕もビートルズとか全然聴いてなかったですよ。

高橋:そうなんですね。菅野は小学生でビートルズ?

菅野:親のカーステレオでだけどね。やっぱり。

高橋:TRFとかでしたけどね。車の中では。

下岡:TRFとか歌詞むちゃくちゃいいよね。

高橋:そうなんですか!(笑)歌詞をちゃんと聴いたことがない(笑)

ヤナセくんは何年生まれだっけ?

ヤナセ:99年です。

下岡:いい音楽がいっぱい出た時だね。

高橋:そんな感じで、皆さん今に至るということなんですが、いよいよ「世代」とか「言葉」というところにグッとフォーカスしていきたいと思います。
ざっくりで申し訳ないんですが、曲における歌詞、言葉の在り方とか立ち位置について訊きたいなと。ざっくり過ぎるな(笑)

菅野:作詞をして、例えばそれが友達とか他人に読まれるということを初めて意識した体験はありますか?

下岡:僕は留学(高校時代オーストラリアへ留学)から帰ってきて、久しぶりに健太郎さんに会った時、彼がオリジナル曲を宅録していたんだけど、それがかっこよくて。それから歌詞とか曲を書き始めた。それが19歳くらい。だから初めてそれを聴いてもらったのも健太郎さんだし。

高橋:なるほど。ヤナセくんが歌詞を書き始めたのはいつ?

ヤナセ:16歳か17歳ですね。

高橋:他のインタビューで読んだんだけど、友達があまりいなかったと(笑)だから歌詞を見せたりとかっていうのが…

ヤナセ:(笑)でも部活は一応吹奏楽をやっていて。CDも時代的にパソコンで作れちゃうので、いっぱい作って配ってました。今考えると恥ずかしすぎて…(笑)

下岡:今そういうのとってある人は幸せだね。「ヤナセくんの最初のやつ俺持ってるよ」みたいな。メルカリで1万円とかで出るだろうな。

高橋:出ますね(笑)
佐々木さんもその宅録をしていた時から、いわゆる”歌”を作ってたんですか?

佐々木:そう、僕もちゃんと音楽をやろうって思ったのは18歳くらいですね。ちゃんとバンドやったのもAnalogfishが初めてだし。

高橋:なるほど。では現時点の話でいいんですが、その歌詞、言葉の立ち位置…何て言ったらいいんだろうなあ…ずばりどういうつもりで書いていますか?!

下岡:僕の場合は詞先なんですよ。いわゆる。たまに詞と曲同時があるけど、メロディーだけ作るみたいなことができないから、歌詞を書いて、歌詞が持ってる音を歌うみたいな感じ。そういう意味では、自分が音楽を作ることって、まずは歌詞を書くことなんだよね。

高橋:意外ですね。

佐々木:最初からそうだよね。バンド始めた時から。

下岡:うん。そのやり方しか知らないというか。言いたいことを言うためにやってるというか。

高橋:言いたいことがある上での音楽なんですね。

下岡:そうですね。

高橋:僕がAnalogfishを聴いたイメージだと、お二人の歌詞は全然違うという印象なんですが、健太郎さん的には歌詞ってどういうものですか?

佐々木:僕は割とメロディーから作ることが多くて、そのメロディーに言いたいことを当てはめていく感じですね。隣にこういう強い言葉を使う人がいるから、影響も受けてる。やっぱり歌詞がないと、メロディーだけだと曲じゃないし。そういうものかな。でも僕の場合は、曲全体の持ってる雰囲気とか、メロディーとかの方が最初に大事にするものかもしれないですね。

高橋:例えば、「ラブソングを作ろう」とかテーマ的なものが全くないところからメロディーが出てきて、そこからテーマですか?順番としては。

佐々木:鼻歌で作ってると、同時に言葉が出てくるんですよ。その言葉が呼んでる方向というか、これはラブソングっぽいなとか、そんな風に引っ張られることが多いですね。

高橋:ヤナセくんはどうですか?

ヤナセ:歌詞を作るのは苦手で…最近やっと何となくわかってきました。元々、それこそ吹奏楽とかから来てるので、曲を作ってから頑張って歌詞を書くという感じです。

高橋:曲が先なんだ。

ヤナセ:曲もコードとかわからなかったんで、楽譜も読めないし、ベースとドラムから作っていって、という感じです。

菅野:歌詞のインスピレーションは、音楽聴いたり、本読んだり、映画観たりっていうところから?

ヤナセ:本と映画が大きいですね。映画に関しては結構オタクで、小学生の時それこそ友達がいなかったんで、映画ばっかり観てました。

高橋:小学生で(笑)クレヨンしんちゃんとかじゃなくてだよね?

一同:(笑)

ヤナセ:じゃないんですけど…クレヨンしんちゃんは最近すごい面白い。

高橋:最近か!(笑)

ヤナセ:クレヨンしんちゃんの監督が作った「マインドゲーム」っていう映画がすごくて。世界のドラッグムービーランキングでナンバーワンになったんです。

下岡:へえ~。観とこう。

ヤナセ:もうめちゃくちゃで。今田耕司が声優やってて、途中で実写になるんですよ。

菅野:掟破り(笑)

ヤナセ:クレヨンしんちゃんのあの空気感をもっとダークにしたような感じです。

下岡:ヤナセくんのすごい好きな映画3本とか知りたいな。全然悩まなくていいよ。いや、悩んでもいいけど。

ヤナセ:映像的なやつとストーリー的なやつがあって、映像で言うとタルコフスキーとか、インセプションのノーランも好きだし…パッと出てこないですね(笑)

下岡:俺も役者とか、監督とか人の名前が極端に覚えられなくて、本数は観るけど何にも残ってない。ただ観てるだけ。

高橋:内容もですか?

下岡:内容忘れてるのもいっぱいある。一場面だけ覚えてるとかね。

ヤナセ:チリーゴンザレスの「黙ってピアノを弾いてくれ」っていう映画が、最近観た中ではめちゃくちゃ面白かったですね。

下岡:俺まだ観てないなあ。ローマは観に行きました?

ヤナセ:まだ観てないです。

下岡:ローマいいですよ。みんないいって言うから、どうだろうと思って観に行ったけど、本当によくてびっくりした。ゼロ・グラビティの監督でね。

高橋:ちょっとマジで映画わからなくて、全然付いていけてないんですけど(笑)、録音聴いて今挙がってたやつ観ます(笑)健太郎さんはこの話…

佐々木:全然付いていけてないです。

一同:(笑)

高橋:何の話でしたっけ?(笑)

下岡:歌詞の話ね。

高橋:そうでした(笑)僕も歌詞が先で、ずっとそうですね。下岡さんは文字数とか気にしながら書きますか?

下岡:上京してすぐはバイトもあんまりやってなくて、すごく暇だったから、毎日歌詞ばっかり書いてた。だからもう考えなくても語呂で書けるようになってるというか、音節とか普通に書けばなんとなくハマるようになってる。

高橋:すごい…。さすがに俺はそうはなれてないので、何となくの形は意識しながら書いて、その歌詞を見ながらギターを弾くって感じですね。

下岡:一緒ですよ。

高橋:俺は、映画を観て情景が浮かんだり、音が降りてきたりという人間ではなくて、やっぱりまずは言葉が出てくるので、言いたいことがあるんだろうなと思います。

下岡:日本で歌詞先って、なんか肩身狭くないですか?

高橋:そうなんですよ。あんまりいなくて、下岡さんが歌詞先というのは本当に意外でした。

下岡:割とダサいと思われがちというか。アーティスティックじゃないというか。途中で全然それは吹っ切れたけど。

高橋:僕も最近堂々と言えるようになりました(笑)

ヤナセ:僕は真逆ですね。考えが。詞から先に書けた方がミュージシャンだなって思います。

下岡:でもミュージシャンて音楽を扱う人じゃない?

ヤナセ:ああ、そうですよね。

下岡:僕らが音楽始めた時に、健太郎さんが音楽雑誌いっぱい持ってて、そういうのを読むと、「俺は、音楽作って歌詞は最後に思いついたのをチャチャっと書く」みたいなそういう美徳が書いてあったのね。だから、歌詞先だっていうのは黙っといた方がいいなと思ってて(笑)ダサいんだな俺とか思いながら。

高橋:俺も思ってましたわあ。凡人だと思ってました。

下岡:でも途中から、逆に自分の方が珍しいなって思うようなったね。

高橋:何て言うんだろ、言葉ってところで、Analogfishもbetcover!!も最初はクールなイメージだったんですよ。それこそ歌詞に意味はない、みたいな。あくまで音だ、というか。聴くまではそんなイメージがあったんですが、実際はどちらも熱いんだなと。正直意外でした。健太郎さんの歌詞は、ダイレクトにというか曝け出すというか、そんな印象で。そして実は下岡さんの歌詞も、「あ、こんなこと言ってたんだ!」と驚きがあって、プロテストソングとして書いてるとか、ちゃんと意志のある言葉なんだなと。ヤナセくんの歌詞も、音だけ聴くと今の音楽というか…

ヤナセ:シティポップ(笑)

高橋:そう(笑)聴くまではそんなイメージで、歌詞の内容もそんなに聴かなくていいかなとか(笑)先入観があったんですけど、これが全く間違いで、すごい歌詞だなと。ちゃんと情熱的で感動したんです。俺は今まで結構イメージで音楽聴いてたなって。

下岡:でもそんなもんですよ。

高橋:だから今回、このメンツでイベントができるっていうことが、改めてよかったなと思いました。
 

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