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「魂とヘルシー」事前鼎談企画 Vol.3

流れる、

抗う、潜り込む

paionia × Analogfish × betcover!!

写真:服部健太郎

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ある一つの言葉とか

一節で歌詞が

出来てきたり、
繋がっていく

ことがある

​    高橋勇成

ヤナセ:訊きたい事、あります。

高橋:どうぞ。

ヤナセ:みなさん本は読みますか?

高橋:ミュージシャンあるあるかも知れませんが、町田康ばっかり読んでる感じです。俺は読書家でもないので、小説はたまに。あと詩集を何も分からず読んでるって感じ。

下岡:詩集とか読めるのすごいと思う。

高橋:いや、もうなんかただ目に入れてるというか(笑)

下岡:分かるも分からないもないからね、あんなの(笑)

高橋:ある一つの言葉とか一節で歌詞が出来てきたり、繋がっていくことがあるので、一単語だけでも影響を受ける事はありますね。

ヤナセ:詩集は例えば誰ですか?

高橋:谷川俊太郎とか。あとは昔の現代詩手帖に載ってる名もないような人の詩を読んでる。

ヤナセ:僕はユリイカ買ってます。

下岡:面白い号あるよね。たまに読むけど。

ヤナセ:ありますね。本当に意味わかんない号もあるし。

下岡:ヤナセくんは結構読書するんですか?

ヤナセ:やっと読めるようになって。映画ばっか観てたから絶対詩を読むのは無理だろうと思っていたんですが、最近は本を読んでる時が一番楽しいです。

高橋:小説ですか?

ヤナセ:小説っていうかエッセイ、坂口安吾の堕落論とか白痴とか。あれを一ヶ月かけてずっと読んでます。ばんばん読めるタイプじゃないから、何回も読み直してます。

下岡:それが良いと思うよ。

ヤナセ:文体のリズムがあるので、歌詞の作り方もわかってきて、やっと最近歌詞先行で作れるようになって。

高橋:最近は歌詞が先なんだ。

ヤナセ:2曲ぐらいですけど、初めて書けて。

下岡:そういうの楽しいですよね。

ヤナセ:あの時代の人って、すごく言葉のリズムがあるので。寺山修司の詩集のテンポとか。

下岡:健太郎さんも読書好きで、太宰とかドストエフスキーとか読むよね。

佐々木:人間失格とかは十代のとき読んでたね。

下岡:俺太宰の小説が苦手で、通ってないんだけど。

ヤナセ:サリンジャーとか読みますか?

佐々木:サリンジャーは逆に最近読んで。

ヤナセ:バナナフィッシュとか、すごく好きですね。

佐々木:短編集(「ナイン・ストーリーズ」)の?

ヤナセ:はい。

下岡:サリンジャーは良いね。

菅野:ドストエフスキーの「地下室の手記」は読みました?

佐々木:19歳の時に読みました。「世界は幻」って自分の曲があるんですけど、そこに一節出てきます。全く意味はわからなかったんですけど(笑)

一同:(笑)

菅野:なんかあれは、すごい字数をかけて「自分は頭が良いがゆえに怠けるしかない」みたいな事を書いてたような気がします。

佐々木:そういう内容だったんだ。

菅野:親戚の遺産をもらって、仕事を辞めて地下室で暮らしてる人で。

下岡:健太郎さん好きなのなんだっけ、「カラマーゾフの兄弟」だっけ?

佐々木:ああ、読むのに2ヶ月ぐらいかかった。

菅野:未完のやつですよね。

佐々木:そうですね。書き終える前に作者が死んでしまって。長いですけど、面白いですよ。

高橋:みなさん色々読んでるんですね。

そもそも

僕らの世代は

音楽に対して

希望は持ってない

​    ヤナセジロウ

高橋:歳をとるにつれて、自分にとっての音楽が変わってきたって感覚はありますか?また、これからどう変わっていくと思いますか?

佐々木:始めた時からだけど、十代はものすごいこれで売れてやるって感じでやってました。でも色々現実を知って、でもバンドってやっぱり最高だなって改めて思って、そんな感じで音楽との関わり方は変わってきていますね。一旗上げてやるみたいな気持ちを諦めてるわけじゃないんですけど、何ていうんだろな。バンドでも色々あったし、メジャーにいって契約が切れて、メンバーが抜けたりして、でも続けられてるっていうのは幸運な事だし。同期の人もどんどん辞めちゃってたけど、まだ続けられてるから。

高橋:音楽の作り方に変化みたいなのはありますか?例えば、聴き手を意識したりとか、自分のために作る、とかなんかそういうところって変わったりしませんか。

下岡:どうだろうね。「音楽って何ですか?」とか「愛って何ですか?」とかってさ、言葉遊びみたいなところもあるから難しいけど、僕個人的な感想としては、やっぱり今の方が昔よりピュアになってきた感じはある。昔は昔でめちゃくちゃピュアだったけど、今はなんか派手な事っていうよりは、自分のサイズとか自分が持ってるものとかが、漠然とだけど昔より見えるから、他人ができる事をやろうっていうよりは、その自分のサイズの中で自分の持ってるものを使い切ってやろうっていうか。あるもので最高のものを目指そうって。売り上げとか、そういうのは置いといて。そういう気持ちは昔より今の方がある。そういう意味では今はピュアかなと思います。あと、20年続けられるバンドってやっぱりいないし、辞めていく人も多いから、嫌なところも含めて長くやらないと分からないところが結構あるんだなっていう事に最近気づきましたね。

高橋:その年齢に応じた音楽を作りたいというか。

下岡:そうですね。変にトレンドとか、誰かに迎合しようって気持ちはないけど、それと同時に、時代の歌みたいな、世代を超えてぶっこ抜くみたいな曲って、最近はあんまりないですけど、そういう曲ってやっぱり人のこと気にしてる中から出てくるのかなって気も今はしていて。だから、そういう気持ちもすごく大事なんだなって思います。

高橋:時代を意識するというか。

下岡:人の事を気にするみたいな気持ちかな。だから、何が良くて何が悪いって話をずっとしていてもしょうがないなって。

高橋:ヤナセ君は音楽に対する感覚で、漠然とでも変化はありました?

ヤナセ:元々生まれた時も、日本の音楽はしょぼくなっていて、バンドミュージックが盛り上がっていた時代を知らないんですよ。バンドが売れてるっていう環境を知らないので、そもそも僕らの世代は音楽に対して希望は持ってない。全く持ってないと思う。持ってないけど、空元気というか、持っているように振る舞う(笑)

下岡:いいんじゃないですか。動機はやりたいからやるって事でしかないからね。始める前にその状況が見えている事ってめちゃくちゃ前向きな事だと思うよ。

高橋:周りの同世代を見ていても、そう感じる?

ヤナセ:そうですね。日本て音楽業界が特殊じゃないですか。ロッキンオンジャパンとかあの辺がまだまだメインで、それが10年ぐらい変わってなくて。サマソニとかはある会社がほとんど仕切ってるフェスですからね。全然良くないバンドがコネで出てたりして、そういうところに政治を感じてるんですよね。今はそこが持ってるから、いろんなものを。テレビもラジオも。シーンさえも今持ってこうとしてて。インディーシーンみたいなのを盛り上げようとしてる。

佐々木:そうなんだ。全然知らなかった(笑)

下岡:仕掛けてるんだね。

ヤナセ:周りの人は良い流れとも言ってるけど、結構危険な気がする。結局新しいロキノン系って言われるジャンルが出来るだけで、後に変なバンドが続いていくだけだと思います。

下岡:さっきヤナセ君が自分でも言ってたけど、世代的に何も希望を感じてないところで始めたっていうのは、やっぱり本当に希望がないからやりたい事やるしかないって事がわかってるってことで、それがすごい良いなって思った。俺たちはそういうの全然分からなかったから。紅白に頑張って出ようみたいな気持ちで始めたし。

佐々木:そうだったね(笑)

下岡:そこでなんかもうめちゃくちゃ迷って。けどその後felicityって今のレーベルに来た時に、本当に俺がやりたい事とか、美しいと思うものをそこの人たちが「それが一番良い」って言ってくれたから。けどなんか、俺は一旗あげようとか、ビッグマネー作ろうとか、そういうトライはあって良いなって思ってる。だから、ヤナセ君がこれから変な事をしても、変わっちゃったとか思わないし。

一同:(笑)

下岡:そういうトライする事とかも含めて、今からメジャーにいってもしかしたらヤナセくんの嫌いなものも見ることがあるかもしれない。でもその中には全然悪くない人がたくさん関わってるんだよ。その中には、きっと面白いものもたくさん転がってて。だから、そういう中にいるのはめっちゃ楽しいと思うし、羨ましいと思うけどね。

ヤナセ:今は良い環境でやらせてもらってて、レコーディング室では曲作りに口出ししちゃいけないっていう約束をしていて。メジャーに誘ってくれたのが、eastern youthの元A&Rの人で、ハードコアのDVDを自分で作ってたりする人なんです。あとは、リキッドルームのブッキングの人が今avexにいて、その人がThe Flaming LipsのDVDとハードコアのDVDを貸してくれたりする(笑)

一同:(笑)

ヤナセ:そういう環境なんです。他にNOT WONKとjan and naomiと一緒で、avexの中でバンド部門を新しく作ったらしいです。

下岡:良い人たちばっかじゃん。NOT WONKのこのあいだの新曲もすごく良かったし。

ヤナセ:あの曲も、そのハードコアの人にCDを貸してもらって、影響を受けてああなったらしいです(笑)

下岡:そういう影響をくれる人がいると良いよね。

高橋:メジャーの状況ってAnalogfishの時はどうだったんですか。

下岡:僕らのときもすでに厳しいって言われてたけど、今の状況に比べればまだ良かったと思う。ASIAN KUNG-FU GENERATIONがいたし。

佐々木:俺たちが最後ぐらいだよね。給料をもらってたりして。

下岡:そうだね。でも、今思うとメジャーにいた頃は全部楽しかったけどね。新鮮で。

佐々木:そうだね。それがあったから今があると思う。

下岡:俺たち迷走しまくってたから(笑)

佐々木:(笑)

下岡:何もなくて。ただバイトやりたくなくてメジャーいきたいと思ってた。でも、ヤナセ君みたいに、色々見えてる状態でメジャーに行くんだったら有意義なものになると思う。

佐々木:ヤナセ君はすごく冷静に見てるんだね。

下岡:シーンとかあまり考えずに好きにやったら良いと思うよ。

ヤナセ:今の音楽業界を見てたら、売れる事は厳しいと思ってて。そういう意味では期待はしてないので、自由にやらせてもらってる感じです。

下岡:なんか変な話になってきてない?

一同:(笑)

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