音楽に寄り添ったアプローチが
もっと出来ると
思うんですよね
服部健太郎
服部:今paioniaのミュージックビデオを作っていて、そこで気になった事なんですけど、元々曲を作る時に、基本的に映像になることは想定してないじゃないですか。
下岡:うん、僕らは全然考えてない。
服部:その曲が映像化するって時に、曲を作った側としては、どのように映像を作る側、監督とかと関わってらっしゃるのかなと思って。例えば丸投げするとか、あるいはもっと具体的に指示を出すとか。
下岡:僕らはほぼ丸投げに近いけど、あがってきたものには厳しい(笑)Spangle call Lilli lineのギターで、写真家でもある笹原清明さんに撮ってもらったら、すごく写真的な構図で映像を撮る人で、色味と構成が綺麗だったので全てお任せしました。
ヤナセ:MV一曲、pennackyって…
下岡:あ、pennackyもこの間一曲やってもらいました。
ヤナセ:betcover!!も前回からやってもらっていて。
下岡:あ、本当に?いいね。
服部:それがすごい訊きたくて。
高橋:(笑)
服部:二組の共通点というか、音楽的な部分じゃない所で気になったのが、同じ方がMVを撮っているというのがあって。
下岡:彼、良いよね。
ヤナセ:キャラがいい。ナードな感じが(笑)
服部:そうなんだー!
ヤナセ:歳が近くて。確か22歳位で。
高橋:そんな若いんだ…。
ヤナセ: V6のMVもやってました。
下岡:本当!?登ったねぇ(笑)
一同:(笑)
下岡:フィルム回してもらったらいいじゃん。
ヤナセ:今度撮るのが16mmで。
下岡:いいですねー。
ヤナセ:でも予算が全部フィルムで取られちゃって(笑)
下岡:僕らのもお金沢山はかけてないけど、すごく上手くやってくれた。
ヤナセ:あれは8mmですか?
下岡:そう8mm。最初16mmでやるって話にしてて、予算伝えたらフィルムで終わっちゃうって(笑)
一同:(笑)
服部:あのMV(Sophisticated Love)も基本は丸投げで?
下岡:うん、丸投げといっても、打ち合わせはして。
服部:曲のイメージから、こういう映像にしますってお話があったって事ですか?
下岡:曲を聴いて考えてくれてたものがあって。打ち合わせで変更があったかは忘れてしまったけど、話し合ったもので撮ってもらった。上がって来たものも良くて、あまり何も言ってないですね。基本的に最近は、自分たちは出ないってことで撮っているし。betcover!!のMV、面白いですよね。
ヤナセ:ありがとうございます。顔を売り出さないといけないので。知ってもらうという意味で。1人だとシンガーソングライターに近いので。
下岡:paioniaは今までのは誰に撮ってもらってるの?
高橋:最近だと、元くんっていうTENDOUJIとかを撮ってる人にも撮ってもらいました。30歳になって、やっとこう時間かけてMV作るとか、活動の一つ一つに自分らの気持ちを注いで出来てるな、という感覚はあります。
下岡:そうなんだ。でも僕らも自分達で意識的になったのは30歳位だった。全然遅くないと思う。ヤナセ君が早いだけ(笑)
高橋:もう総監督みたいな感じよね(笑)
ヤナセ:pennackyさんは本当に色味が良いですよね。嫌いな映像チームがいて、そこの作る映像の色味が嫌で。なんかスマホのフィルターかけたみたいな、わかりやすい感じで。
高橋:それっぽいというかね。
ヤナセ:黒が黒じゃない感じになってて、浮いてるような。pennackyさんはすごく黒を意識しているから、映画っぽいというか。松田優作さんの出てる時代の映像のような。
下岡:映画を沢山観ている人ばかりじゃないから、そのフィルターをかけたような感じをフィルムっぽく感じているのかもなって思う時がある。映画っぽいなというか。作る側は広告的にすごくわかってやってる気がする。ビジネス強者だと思うよ。
ヤナセ:上手い感じ。ちゃんとウケるように。
下岡:それが今すごく評価されるんだよね。そういう流れが問題というか、ヤナセ君的には面白くないんだろうね。
一同:(笑)
下岡:ひしひしと伝わってくる(笑)
ヤナセ:youtubeのコメントとかに「横が切れてる、サイズが合ってない」って書かれちゃって。わざと映像の比率を変えてるのに、そういう感覚なんだなって…。
高橋:うんざりしちゃう感じか(笑)それはリスナーが悪いのか、仕掛ける側が悪いのか(笑)
下岡:僕らのMVで8mmのやつも、横にフィルムの枠出てるんだよ。「あの四角いのはなんだ?」とか言う人いて。「ああフィルムってもう一般性ないんだな」ってびっくりした。
ヤナセ:びっくりしちゃう(笑)思った以上に、みんな映画を観てないし興味もない。自分が嫌いな映像チームが一番良いみたいに言われてるし。
下岡:betcover!!の現代批判だね今日は!
一同:(笑)
ヤナセ:映像に関してはやっぱり良くないと思う。海外の人から見たらどう思うのかとか、笑っちゃうレベルだろうし。
下岡:日本的ではあるよね。
ヤナセ:海外のはもう映画じゃないですか。映像の質もライティングから全然違うし。日本のは適当に見える。予算が無かったりして仕方ない部分もあるんだろうけど。黒が締まってなくて、紫っぽいのが嫌なんです。
服部:違うなと思うのが、言い方難しいんですけど、あまりにも意図が無いんだろうなというのがあって。「海豚少年」のPVめちゃくちゃ好きなんです。今自分が置かれている環境への思いも全部入っているように思うし。素晴らしいなと思います。演奏シーンがあって、可愛い女の子出てきてみたいなのが今すごく多いじゃないですか。映像の作り手も頑張ってないと思うし、音楽に寄り添ったアプローチがもっと出来ると思うんですよね。そういうのが無いのは勿体無いなと思ってしまいます。
下岡:うーん。MVはどこまでいっても楽曲のプロモーションとして始まったものだから。映画的な意味合いがあっても良いとは思うけど。アイドルとかのMVは動いてる彼らが見たいわけだからさ。そういう「人の気持ち」みたいな所を考えないと、止まっちゃうのかなとは思う。
高橋:そうなんですよね。
ヤナセ:リスペクトが感じられないのが嫌で。嫌いな映像チームが、海外のMVから引用してて。
下岡:めっちゃ嫌そうな顔して言うね(笑)
一同:(笑)
ヤナセ:なんでも面白いから使ってみようみたいな。引用元の事あんまり知らずに、ただ面白い物は全部入れてみようみたいな。中途半端なの、俺すごい嫌で。
高橋:ミュージシャンに対してのリスペクトもね。
ヤナセ:物に対してもです。ちゃんと消化してからじゃないと、説得力が全然違う。小道具も安っぽいし。Flaming Lipsの適当に作ってる感じのMVはめちゃくちゃかっこいいじゃないですか。でも今の日本で、新進気鋭の若手チームが作った「かっこいい映像」は、すごく安っぽく見える。
高橋:映像としては綺麗ではあるよね。
ヤナセ:でも俺は観れないですね。
下岡:これからヤナセくんが音楽で相手にしていくのは、そういった価値観の人達が大多数なわけじゃん。そこを無視しても美しい事をやるってのも有りだけど、そういった人達と関わっていくことで少なからず得る物もあると思う。
ヤナセ:天邪鬼すぎて。メジャーになったら超売れるダサいの作りたいって気持ちも出て来て。
高橋:ああ~(笑)
ヤナセ:皆が「メジャーいって変わっちゃうの嫌だな」って言ってるから逆にやりたいなと思ったり。
高橋:それを敢えてやりたいと。
下岡:不思議なものでさ、売れるエッセンスって曲聴いてたらこういう事かなって思うけど、例えば自分がそれを寄せ集めてやったとしても売れるとは限らない。それに、寄せ集めても自分ではつくれない。ああいうのも本当に才能だから。不思議だよ。すごいんだよ売れるって。
高橋:そうですよね。俺も売れる曲作ろうと思えば作れるって思ってた時があったんですけど、よくよく考えたら無理だなって。
下岡:(笑)
高橋:そもそもやっぱり作れないんだなって。俺には出来ない事をやってんだなって思いますね。
下岡:出来る人もいるんだろうけどね。難しいね。
MVの話だったよね?(笑)
高橋:MVの話でしたね(笑)これで一区切りですね!