top of page

paionia「魂とヘルシー」特設ページ

20代とは、 30代とは

paionia×有馬和樹(おとぎ話)

​――「魂とヘルシー」事前企画 ​――

魂とヘルシー.png

Photographs by KENTARO HATTORI

  • Grey Facebook Icon
  • Grey Twitter Icon
  • Grey Instagram Icon

Pages

3

歳取って

落ち着いてくる

みたいな部分と、

昔から一貫してずっと

冷めていない部分が

あるというか。

ニシムラ:自分で何とかするってことに繋がると思うんですが、「眺め」の “HOMEWORK”、「白書」の”跡形”、両方に出てくるのが「仕事」とか「働く」って事なんですよね。ただ同じニュアンスの言葉だけど視点が違ってというか。勇成くんは土を食うとか、泥臭い表現にもっていくところがあって、それは性格の真面目さというか一本気みたいな表れだと思うんですよね。勇成くんが20代を通して”跡形”にたどり着いたのに対して、有馬さんの歌詞は「日々いろんな選択を迫られるけど、最終的に決めるのはあなただ」という。そういう意味では有馬さんの歌詞は意地悪だなと。その部分に20代と30代の違いがあるように感じて。間違ってたらカットしてください(笑)

 

有馬:違う事ないよ。俺は曲の解釈とか正解が無いと思ってるから。音楽を届ける時点で、俺の答えは無いんだよ。こう聴いてほしいとか無くて、自由に聴いてほしい。

 

高橋:それは俺もそうですね。

 

有馬:俺は、よりポップになりたいんだよ今は。より意味を持たせたくないんだけど、ちゃんと意味のある事を並べてドキッとさせたい。そこがポップだしキラキラする部分だと思うんだ。だからpaionia聴いてると…、簡単に言うと感動するんだよね。上っ面じゃないっていうか。何なんだろうな、このpaioniaの感じって…。

 

菅野:有馬さんの目指しているポップっていうものに、感動はあるんですか?

 

有馬:例えばT-REX聴いた時にある感動と、paioniaを聴いた時の感動ってのは全然違って。なんだけど…ああそうか。音楽に追い求める感動よりも、自分の友達が、生きていてこういう事を考えてくれてたらちょっと嬉しいなってバンドだと思う、paioniaは。そういう感動がある。その友達がおとぎ話だとしたら、これだけポップでひねくれた音楽やってくれてたら、ちょっと頼もしいじゃん。共存できるというか。

_MG_7171.jpg

高橋:そういう意味では共通点なんだと思うんですが、ニヒルにならないというか、歳取って落ち着いてくるみたいな部分と、昔から一貫してずっと冷めていない部分があるというか。その部分に共通点があるように感じます。冷めてなくて良かったなって。

 

ニシムラ:そこは有馬さんが曲の中で隠してる部分なんじゃないですか?

 

有馬:いや、俺は隠してないんだけどね。ニシムラの言う、俺のパーソナルな捻くれてる部分とかっていうのは、音楽には表れてないかもしれない。音楽を作る上ではものすごくストレートだと思う。それはメンバーが一番感じてるんじゃないかな。バンドとして捻くれた感じになるのは、メンバーが曲をそれぞれで解釈した部分があるからだよ。それが面白いからバンドなんだよ。

 

高橋:そうですよね。有馬さんはずっとサイケとか、本当に誰も知らないような音楽ばっかり聴いてきて、その中から、「綺麗」とかに有馬さんの中の答えとして出てくる訳じゃないですか。

 

有馬:うん、出てくる。

 

高橋:それがどういう基準で出てくんのかなって思って。言葉とかは色々あると思うんですけど、音楽的に有馬さんが沢山聴いてる中であの音が出てくるのって何なのかなって。

 

ニシムラ:「眺め」作ってる間に、これ良いなぁと思って聴いてた曲とかあるんですか?

有馬:無いよ。

 

ニシムラ:具体的には何も?

 

有馬:何にも無いよ。

 

ニシムラ:いや、なんかすごくミニマルというか。

 

有馬:「眺め」も、「THE WORLD」(6th ALBUM)以降は何かを聴いて作ってないよ。もう経験出すだけだよ。

 

ニシムラ:もう大人ですもんね。

有馬:でも強いて言うなら…ストーンズ!レーベルのボスがストーンズの「山羊の頭のスープ」みたいなムードのアルバムを作りたいって言ってて。"Angie"みたいな曲作ってって言われて作ったんだよ、"綺麗"は。フリージャズとかも好きだから聴いてて、それも経験となって出るんだけどさ。例えば、坂本慎太郎さんとかコーネリアスとかも好きだし。今で言ったらカジ(ヒデキ)さんのバックバンドもやらしてもらって、カジさんの事ももっともっと好きになってくるし。日本のいろんなバンド好きだよ、もちろん。だけど、その人たちがレコメンドするアルバムや好きな曲で、俺がまだ知らない曲あるんだよやっぱり。「え、この人めっちゃ聴いてんじゃん!俺より全然いろんな曲知ってんじゃん!やべえどうしよう」って思ったら、その人よりもたくさん聴いて、音楽好きになって、曲作ろうって思うのは俺にとって普通なんだよ。こういう曲聴いたからこういう曲書けるっていうのは無いよ。

でも、違う観点からするといろんな音楽聴いたら面白い人間になれるよ。映画も音楽も人が知らないもの知るっていうのは、発見なんだよ。カジさんとかもそうなんだけど、「この曲が好きでこういうものを作りたかったんだよね。知ってる?」って言われて知らないですってなると、もうカジくんどんだけ面白い人なんだろうって。人を好きになることのひとつとして、その人を作り上げたものが全部わかっちゃったら面白くないんだよね。

高橋:背景が見えてしまうとってことですかね?

 

有馬:いやもう背景以上のものを出されちゃって、この人はすごい音楽ファンなんだなとかさ。あと、前に五木田智央さんの展示を観に行って、例えば「Talking Heads / Psycho Killer」とか、ソウルの名曲とかをプロレスラーの顔と一緒に描いて、仮想のアルバムジャケットを作るっていう作品が何枚もあって。それ観た時に、自分よりも探求心があって、自分の想像を超えるくらいいろんなことを知ってる人が、ここでやれちゃってんだなって思ったの。ショボいな自分!ていう。だけど、これを誰よりも楽しめちゃう自分もいるなって思って。今これだけYoutubeとかいろんなツールがあるんだから、自分が知らないことをどんどん知ろうとする人の方が強いし、知ったふりするのが一番ダサいなとも思ったの。

で、話合わせる人がもっとダサいと俺は思うから、俺は知らないことをものすごく勉強してる。プロレス好きな人と喋る時に、「有馬くんはいい曲書くけど、俺たちに話合わせてるだけなんだね。」って言われたくないから、誰よりもその当時のこととかを調べていく。馬鹿にしないっていうかさ。何度も言うけど、それはめちゃくちゃやってる俺は。常にそれしか考えてないかも(笑)
人にそうしろとは思わないんだけど、それがやってて楽しいんだよね。そして30歳過ぎてくるとね、覚えたいことも全部は覚えられなくなってくる(笑)最初に菅野くんが言ってたけど、疲れるようになるし、疲れると好きなことしか追っかけられなくなってくる。

 

ニシムラ:できるだけその人と楽しい話がしたいってことですよね。

 

有馬そうだね。あと、好きな人を追っかけようとして、その人が好きなものを全部好きになろうとすると、俺の場合、必ずその人に会える。例えば、中邑真輔っていうプロレスラーが好きで、真輔さんは絵を描くから、どんな絵を描いてるのかとか、サーフィンの映画観て、板にはこういうワックス使うんだとか、そこまで話できなきゃ勿体無いと思う。俺はサーフィンやらないけどね。「自分はやらないけど、そこまで調べちゃうって事はあなたのことが本当に好きなんです」って言える日が来たらいいなと思ってると、会えるんだよねやっぱり。

 

菅野:有馬さんは人が好きなんですね。

 

有馬:そうだね、人は好き。めっちゃ普通の話するけど、今日も、好きかもなあって思った人と喋ってるだけなんだよ。そして自分の知らない新しい価値観をもらいたいと思って来てんだよ。勇成は等身大で喋るでしょ?ほんのちょっとしか喋ってないけど、そういう発見があるよ。菅野くんからもらう物もすごくあるし、勇成からもらう物もある。菅野くんは割といろんなものに興味あるように見えるけど、勇成はめっちゃ自分のこと好きに見える。

自分の知らない新しい

価値観をもらいたいと

​思って来てんだよ。

_MG_6929_1.jpg

高橋:ああ、これは…今めっちゃ話そうと思ってたんですけど、有馬さんの音楽が好きっていう気持ちにはどうしようもなく勝てなくて、人とかモノへの好奇心も、自分はどうしようもなく大きくはないんですよ。そんな30年だったのかなとも今思いました。先輩と話さないっていうのも、知らないことを知ったりとか、興味・好奇心的なところで、そもそもそういう気持ちが無いんだなって。

 

有馬:でもだからさ、好きな人に好きって言ってもらいたいから俺はそうしてるだけ。

 

高橋:なるほど…でもさっき言ったんですが、そこは諦めちゃってるんですよね。片思いなんだっていうところで止まっちゃってたんで…

 

有馬:でもそうなるとさ、自分たちの力だけでめちゃくちゃ売れるしかないじゃん(笑)

 

高橋:でもpaioniaってそうやってきたのかなって。ほとんど誰ともつるまないというか、絡まなかったので…

 

有馬:でもそれはおとぎ話もそうだからね。そうやってきちゃってた。でも30歳超えてからは、まあ開いてるわな。

 

ニシムラ:今の話を聴いてると、アプローチとしては、好きな人に好きって言ってもらいたいっていうところは多分一緒だと思うんですよね。

 

高橋:俺も、もちろんそうですね。

 

ニシムラ:表に出るのか出ないのかの違いだと思うんですよ。

 

有馬:ニシムラ、久しぶりに正しいこと言ったね。

 

一同:(笑)

 

ニシムラ:今日俺司会だから!出来てないですけど!(笑)

 

高橋:最近少しずつスイッチを押し始めてきてるって言ったんですけど、今日で大きく前進すると思います。

 

ニシムラ:ひとついいですか。paioniaの二人で、有馬さんに似てる方っていうとたぶん菅野くんなんですよ。

 

有馬:それは、もうそうだよ。一緒にゲーセンとか行きたいもん。

 

一同:(笑)

 

ニシムラ:菅野くんがゲーセンでゲームしてるところが想像つかない(笑)

 

有馬:いや、想像つかないことをしたいのよ。

高橋:いやあでも、さっきの話なんですが有馬さんの言う通りで、自分でも何となくわかってるというか、負い目って言うのかな…

 

有馬:負い目って言うのはまだ若いよ。例えば、今のまま40歳になったらって考えてみてよ。そんな40歳で結婚もしてないとかだったらヤバくない?(笑)

 

高橋:本当にヤバいんだろうなあと思うんすよね(笑)

 

有馬:そんなガチガチの40歳より、楽しんでる40歳の方がなんとなくかっこよく見えるじゃん。

 

ニシムラ:皆さんにとって、今すごく楽しい事ってありますか?音楽以外で。

 

有馬:それはいい質問だね。

 

ニシムラ:映画を観るとか、音楽に付随するもの以外で。

 

有馬:音楽に付随するもの以外で楽しいことが無いから、音楽を仕事にしてんだよ。

 

ニシムラ:それじゃ2人が言いづらくなっちゃうじゃないですか(笑)

有馬:いやいや、違う違う。それは37歳の俺が今思ってることで、音楽以外に楽しいことがあったら、それもお金にするために努力してると思う。俺はね。というか、趣味が無いんだよ。サッカーが好きとかも音楽になっていくから。プロレスだって歌詞になるし。趣味は無いのよ。言うなれば、音楽が趣味だし、今こうやって喋ってるのも趣味だよ。だってバンドやってなかったら、こんな前途洋々な面白いバンドの人たちと喋る機会なんてないからね。

 

菅野:有馬さんの中では、音楽への熱量と、音楽でお金を稼ぐことへの熱量は直結してるんですか?

 

有馬:直結してるっていうか、もう37歳になっちゃったから、お金になるっていうのは願望で、熱意とか好きっていうことの方が今は大きいかな。現状維持していければいいなっていう状況にもまだいないから。だってみんながバンドだけで食っていけてるわけじゃないから、そこにいくためには、まずは熱意がないといけない。だからそこだけは頑張んなきゃなと思うし、2人もたぶんわかってると思うけど、売れるのってタイミングだったりするじゃん?本当に。でもひとつ先輩として言うことは、何かのタイミングは来る可能性があるんだよ、これから先。その時に、こういう話をしてるからこそチャラくなれる部分もあった方がいいって話。格好良ければ何をしても大丈夫っていう。どんなバンドと対バンしても大丈夫。

例えば、EXILEpaionia良い!って言って、自分たちのイベントに呼びたいってなった時に、尖っててもしょうがないじゃん。おとぎ話が呼ばれたら全然やるよ。自分たちが格好つける土壌だけ作っておけば、何やっても格好悪く見えないから。日本だからね。だからそこだけは作っておいてほしいなっていうのはある。いい曲を作って、いいライブをするだけだから。

でもそこで格好つけて、いや今は違うでしょとか言ってんのは、今の日本ではちょっとダサいからやめてほしい。チャンスは掴んでほしいのよ。

Pages

3

OFFICIAL SNS:

© 2015 by paionia. Proudly created with Wix.com

bottom of page